2011年3月11日15時前、東日本全域が巨大地震に襲われました。
今回の地震で被害に遭われた方々へのお見舞いと、亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
ここでは当ブログの趣旨とは関係ないのですが、当日のことを備忘録的に書こうと思います。
茶化したようなトーンもありますが、本当は必死だったことをご承知おきいただき、何卒ご容赦ください。
***
地震当時、自社内会議室で打ち合わせをしていました。
尋常ならざる揺れを感じてすぐに机下に潜る。
ガタッガタガタッ ドドドドドッ・・・
ヤバい、これ。半端ない・・・。
その揺れがなかなか収まらない状況を見て、「あ、こりゃこのあと絶対携帯は繋がらなくなるな・・・」と確信。即奥さんに電話。
通常は地元八王子で仕事をしている奥さんですが、実はこの日に限って都内に研修で出てきており、九段下にて受講中。
タイミング悪いよねえ・・・なんて思っててもしょうがない。
幸いすぐに電話が繋がり、即座に自分の実家に電話を入れて無事を確認することと、子供たちを迎えに行ってもらうかもしれない旨、伝えてもらうことに。
実家のママさん、頼みます・・・。とそんな心境でした。
でも、今思えば自分のことしか考えてない。
そもそも実家には90歳になる義祖母がいらっしゃる。彼女を置いて義母が家を出られるはずない・・・。
この時点ですでに甘く見ていたなあと感じます。ごめんなさい・・・。
ここでなんとなくツイート。
電話を切った後、自分の実家にも電話。こちらも幸い、両親ともに自宅にいたので、機動力を考慮してこっちに迎えに行ってもらおうと判断。
次女と三女は保育園にいるのでそこに迎えに行けば大丈夫だけど、長女は学校からひとりで自宅に帰ってくるので、どうしようか思案・・・。
心配だ。心配すぎる・・・。
そんな中、自宅の真向かいに住む弟に連絡がつき、長女が帰るタイミングには家に帰れるとのことだったので、ここで子供たちのピックアップ・安全確保確認は完了。
VIVA!弟!さすが!
父は海外に登山に何度も出かけた実績のある人物なので、災害時の行動力や生命力は自分より遥かに上。弟もスポーツをしていた人間で、我が家の子供達のことも生まれた時からずーっと知っているので、ここでホッと一安心。
とにかく、いろいろなことを想定してお互いの実家近くに住んでいましたが、この時ほど安心したことはなかった・・・。そんな感じ。
愛してる、家族。
あとは奥さん。
ってゆーか自分。
この間、最初の大きな揺れから1時間前後でしょうか・・・。
続々と余震が押し寄せており、もう自分が揺れてるのか、余震なのか区別もつかず・・・。それに縦揺れも連発でした。
ここでは多分、相当焦ってた。情け無い限りだ・・・。
すぐには動けないので、その後の2時間は情報収集に勤しみつつ、様子を見つつジッと我慢のボンカレー。
電車はしばらく動けないことは容易に想像できたため、一応、会社近くのビジネスホテル数件に連絡してみたものの、どこも満室。
ちきしょうめ・・・。当たり前か。
会社でNHKを横目に、主にツイッターで情報収集。この時点で東北地方の容易ならざる被害状況を知る。奥さんの母方の親戚は宮城県に多数いる・・・。大丈夫だろうか・・・。心配になる。
また、世界中から励ましの言葉・写真などが送られてきていることも知る・・・。
弟はiPhoneユーザでちょくちょくDMで状況連絡が入る。
親からも気持ち悪がられるくらい、よく一緒に行動する兄弟ですが、こういう時はホント楽。助かります。
その後、子供たちが無事家族一緒になれたことを、弟のDMにて確認。
良かった。本当に良かった。
八王子はそんなに揺れなかったらしい。
まあ、家なんてなんぼぶっ壊れてもいい。
無事でいてくれさえすれば・・・。
出来れば家もぶっ壊れないでいて欲しいけど。
今はとにかく自分のすべきことに集中しよう。
奥さんと合流できる方法を模索しなきゃ。
ツイッター上には、「女性がひとりでトイレに入ると危険!暴行されることもあるから注意!」などというツイートも散見され始める。
また、「阪神大震災時にもそのようなことがあったらしい!」というツイートも多数見かける。
ヤヴァい・・・。
※後日、↓↓のようなツイートを見ました。結果として、この震災の日から今日まで、というか今後も
事実にデマや嘘を含んだ「情報の荒波」で泳ぎ続けなければならない毎日
が続くことに・・・。
「阪神大震災で強姦が多発」はデマです。
阪神淡路大震災の混乱に乗じた強姦はあったのかしらという話
この話だけに煽られたつもりはありませんが、行動するしかないと判断、徒歩での帰宅を決意。
すでに携帯電話は繋がりづらくなっており、固定電話と併用する形で奥さんに連絡を試みる。
思えば、まだこの頃は多少なりとも電話が繋がってました。
繋がった電話で短い時間に伝えたのは下記のようなことでした。
・新宿駅付近の温かいところで待機すること
・出来ればお店に入ること
・周囲に人が多い場所を選ぶこと
・長期戦を覚悟すること・動かないこと
・ひとりでトイレ入るなーーーーー!!!
↑よく考えるとどうすりゃいいんだって話だ。
長期戦を覚悟したため、手元のiPhone、docomo携帯のフル充電を確認。
他にもeneloopのUSB出力付リチウムイオンバッテリー「KBC-L2A」とdocomo用充電ケーブル、iPhoneバッテリー兼用カバーの「1065/JPA-IP3G-WHT-A」。
また他のキャリアのユーザの充電をする可能性を考えて「マルチアダプター」と、なにかの時を考えて「Victorinox」のミニナイフ。
充電フェチな俺ナイス。
これはあとですごい生きます。ミニナイフは使わなかったけど・・・。
まずは新宿駅で落ち合うことを最優先とし、その後は八王子方面に歩いて行けるところまで行こう、途中にファミレス等で休めばいいか・・・、場合によっては途中でタクシー捕まえてもいいか・・・そんな風に考えていました。
迷わず行けよ、行けばわかるさ・・・。
この時はまだ甘さに気が付いていなかった。
★もっとiPhoneに役立ちそうなアプリを入れておくべきだった・・・
★ツイッター等のソーシャルネットワーク系のアカウントを持たない奥さんに他の連絡手段を用意すべきだった・・・
★有益なサイト等をブクマする等、準備しておけば良かった・・・
★外や都心部、主要道路の状況等を調べて動けば良かった・・・
★もっともっと細かく荷物をチェックして減らせば良かった・・・
とりあえず、会社最寄りの新富町駅~新宿駅まで徒歩ルートを確認。
大きな地図で見る
8.1km、約1時間半かあ。もともと地図を覚えるのは苦手、嫌な予感はしたものの、「iPhoneで確認しながら歩けば大丈夫だろう」くらいに考えてました。
とにかく奥さんを捕まえなきゃ・・・。その一心。
会社を出て銀座のど真ん中を突っ切ろうとして、まず最初のミスを自覚。
ああ、マフラー忘れた・・・。
長期戦は必至、防寒は基本中の基本なのに・・・。
そして、昭和通りに出て愕然・・・・・。
「すげえ渋滞・・・。タクシーどころの騒ぎじゃない・・・」
会社出て5分で心折れそうになりました。こりゃマズイ・・・。
そして、思っていた以上に手が冷たい。
iPhone持ってツイートや地図を確認しながら歩くのは相当辛い・・・。
ああ、こういう手袋買っておけば良かった・・・。
iPhone対応手袋9種比較レビュー
ということで、見かけたコンビニに突入。
☆手袋を物色
→軍手しかない・・・。背に腹は変えられない。しょうがない、これしかない。
☆マフラー
→あるわけない・・・。ユニクロも閉まってるしねえ。
ということで、マフラーはタオルで代用!ほら、サッカー観るときタオルマフラーとかあるじゃん!持ってないけど!
もう格好なんて気にしてられない。寒くなければなんでもよし。
タオルを首に巻いてマフラー代わりに。いいよ、これ。
意外にタオルマフラーいけるよ。
タオルありがとう!
今度買おうか検討するよ、タオルマフラー!
軍手も滑り止めが付いているタイプで、iPhone持ちやすい。ナイス軍手。
軍手最強!
フリックする右手は死ぬほど冷たいけど・・・。
ようやく再スタート。
有楽町駅を抜けて、左手に日比谷公園、右手に皇居外苑を見ながら歩く。
いつもならタクシーに乗って携帯で電話しながら走る道路。歩くと結構長いな・・・。いや、かなり長いな・・・。
多くのサラリーマンが同僚と歩いている中でたったひとり。
ツイートを見ながら、フォロワーがたくさん都内で闊歩していること、みんな寒さの中を必死に家を目指していることに励まされつつ、ただひたすら歩く。
その間、奥さんとは電話まったく繋がらず。
どうすんだよ・・・。新宿のどこにいるかもまだ判明していないのに・・・。
何度も電話してようやっと繋がった瞬間、
「とにかくツイッターのアカウント取って!そこならなんぼでも会話できるから!」
と伝える。あれほど
「私にはこういうの向いてないからやらない!」
と言っていた奥さんですが、さすがにこの時ばかりは即取得。
ってことで、電話切って数分でツイート開始し始めた。
もう歓喜。
でも、頼むからDM(ダイレクトメッセージ)でください、と懇願。そこんとこ頼みます、ホント。
すぐ理解してくれたらしい。
いいね、事務的DM!
意外にやり始めると使いこなすの早い人なんですよね・・・。
このへんは感心。ホント。ありがとうございます。
ふと、かたわらの首都高を見ると全面通行止。そりゃそうだよね。ここを歩きたいくらいだよ・・・。
さて、iPhoneはマップと折れそうになる心を励ますiPod機能、ツイッターを使っていた。そんな中、弟から何度もDMが。
「いやあ、アプリ落としてる余裕なんてないっすよ、実際」
などと思っていたわけで。
もうひたすら歩きますよ、わたしゃ。アプリになんて頼らないっすよ。
確かにdocomoもソフトバンクも通話なんてまったく無理なわけで。何度掛けても繋がらないわけで。
思い直してViberをダウンロードして、インストール。
ホーム画面の子供たちの写真見て泣きそうになる。
待ってろよ、父ちゃんと母ちゃん、頑張って必ず帰るからな!
いろいろ弄ってみるとこのViberなるアプリ、どうも自分の電話番号入れてSMSでコードをもらう仕組みらしい。
でも、何度やってもSMSが届かない。何度も送信ボタン押す。手が冷たい。死ぬほど冷たい。
もういいよ、Viber。使えないよ、Viber。諦めたよ、Viber。
と、数十分歩いたところでふと画面見るとSMS着信の表示。
「Your Viber code is: ****」
ヒャッホウ!奥さん、俺やったよ!
早速弟に電話してみる・・・。
繋がった・・・。身内の声が久々聞けた・・・(大げさ)。
すごいよ、Viber!
ワンダホーだよ、Viber!
神だよ、Viber!
このへんで麹町。で、ふとマップを見ると・・・
おおおい!
Viberに夢中になりすぎて、曲がるところ間違えたじゃねえか!
即軌道修正。折れるな、心。
上がりまくる曲ばかりを再生。
途中、おしっこしがしたくなりまして。
そりゃそうだ、この寒さだもん。でも、どのコンビニのトイレも満杯。漏れる・・・
たまたま入った小さなコーヒーショップがなぜだかそこは人が少なく、1杯のコーヒーで暖を取り、お小水を放出。はあ~~。
もう感動すごい。我慢しきったお小水を放出するのってマジで感動です。
「奥さんを目指して新幹線・・・」って意味不明だな・・・。新宿の誤りです。
四谷を抜けて、【新宿→】みたいな看板も目立ってきた。
ってゆーか、【新宿→】って看板を手に持って立ってる方々がいた。
何者ですか、この方々。
神様ですか?愛の使者ですか?ありがとう、本当にありがとうございます。
心が奮い立つ。
このあたりからツイートは止めて、歩くパワーに集中。新宿通りをひたすら新宿方面へ。
四谷四丁目の交差点を新宿方面に曲がって、先が見えてきたのでホッとする。
そして、ようやく奥さんと合流!まさにJR新宿駅西口改札の真ん前にいました。
この感動ったらない!もう一回結婚したいくらい!
そうは言っても、まだまだ道半ば。そうだよね。まだ新宿だもの。
八王子って遠いのね。
ここまでのお互いの道程を話して一段落、とにかく準備して、次は自宅を目指すしかない!って話になった。
すると、隣に立っていた若い女性に話し掛けてホッカイロやお菓子をあげてる。
なんでも、
「女性同士で不安だったから固まろうって声を掛けた。少しでも寒さを凌げるならってことと、背後に誰かに回られる恐怖もあるので、電光掲示板の前に寄り添って立っていた。」
そうです。それでデジタルサイネージの前で女性とぴったり立ってたのかあ・・・。
納得。素晴らしい。奥さんの機転に感心しました。
その後、歩きながら甲州街道方面を目指す。なんでも奥さんの妹も職場から新宿方面を歩いているそうで、
「最後の情報は御茶ノ水。その後は繋がらなくて、どこにいるのかもわからない。
とにかく、立ち止まって夜を明かせる場所を探せって伝えたんだけど・・・。」
とのこと・・・。どこにいるかもわからない状態だと待ち続けるのは厳しい・・・。
先に八王子に向かうしかないか・・・
なんて言っているところで、奇跡的に通電!なんでも新宿に着いた!とのこと。
もう、昨年末に亡くなった義理のお父さんが守ってくれてるとしか思えない・・・。
そして、再会を喜ぶ暇もなく、一路八王子へ・・・。
残り40km弱・・・。
ここからはひたすら甲州街道を歩くのみ。道路は1ミリも動かない感じ。1kmがものすごく遠く感じました。
ファミレス等で休憩を・・・などと甘い考えを抱いてましたが、どこも緊急で閉店状態。
裏通りを探そうと思いましたが、暗くて怖くて大通りをただただ歩くので精一杯。
明大前手前で、急に京王線が動いてる姿を目撃しました。
大量に歩く帰宅難民の方々より歓声が上がる・・・。
少し歩くと、地域住民のボランティアと思しき年配の男性が、
「京王線動いてまーす!ここ曲がると明大前駅でーす!」
と大きな声で道案内をしてくれています。
おお神か・・・。この方は神か・・・。
感謝・・・本当に感謝です・・・。
その後は、運転再開後2本目?と思われる電車に3人で乗車。
思っていたよりも空いていました。新宿から少しズレてたのが幸いしたのでしょうか・・・。
ここで落ち着いてiPhoneを取り出してツイッターを確認。すでに大津波の惨状を物語る写真が出回っています。とんでもないことになってる・・・被害はさらに拡大するかもしれない・・・
暗澹たる気持ちと、電車に乗れた安堵感とでただただ無言で京王八王子まで過ごしました。
地元に着いたら、とにかく明日以降なにが起こるかわからなかったので、明いていたコンビニでカップ麺やパンなどをありったけ購入。ちょうど日付が変わる頃に無事帰宅できました。
子供たちはいつものようにぐっすり寝ていました。寝顔見て涙出そうになった・・・。いや出てたかも・・・。
リビングでは両親がテレビを見ながら、真っ青になっていました。そこに流されている驚愕の映像の数々・・・・
ひとまずは、備忘録はここで終了します。
なんだか尻切れトンボだ・・・すみません。
最後に感謝のお言葉。
家族あっての自分、本当にみんなに感謝、感謝。
そして、途中ですでにボランティアとして帰宅難民の手助けをしていた方々、ありがとうございました。